ナチスドイツ

 そう、ナチスドイツとは何だったのか?これは20世紀の最大の思想的課題の一つだった。多分20世紀で一番でかい課題は「アメリカとは何か」だったんだろうけど、実はこの二つはからまっている。なぜならドイツ人とアメリカの支配階級は人種的にも文化的にも非常に近いしね。そして20世紀後半アメリカから世界にむけてリリースされた無数の技術や映画やなんかのほとんどがドイツから逃げてきたユダヤ人たちによるものだった。もちろんそうでないのもある。黒人がつくりだしてきた音楽などだ。(かれらはどうみてもユダヤ人とは違う)
 ナチスドイツを説明するにあたり、ドラッカーは政治学に「絶望」という用語を導入した。ここでいう「絶望」とはヨーロッパ文明の破綻のことだ。ヨーロッパ文明に希望をもてなくなった大衆のキリスト教会への期待とキリスト教がそれに応えられなかった経緯についても一章を割いて詳述していた。ほとんど誰も注目していなかったキルケゴールの重要性を世に示し、第二次大戦後キリスト教政党の出現の予兆となったのだという。やはりドラッカーはとてつもない思想家だ。
 ドラッカーはオーストリア出身だが、ヨーロッパの思想家としてはカウントされていないようだ。ナチスに追い出されただけなのにね。