さまよえる松本零二
先週はロボットアニメについて書いたのだが、書き残したことを書いておこう。
わざわざ書くまでもないことだが、松本はロボットが嫌いである。
それは「999」を見ればわかる。機械化を否定しているのだから。
そんな松本がロボットアニメであるはずの「ダンガードA」の原作者となっているのは実に面白い。
「999」がヒットするまで食えてなかったんだろうなあ。
松本は基本がロボット嫌いなので、「ダンガードA」でいろいろと新しいことをやって精一杯抵抗しているのがよくわかる。
1.ロボットを完全に脇役にしていること。
なんと原作漫画では1カットしかロボットがでてこない。アニメでもスポンサーからクレームがついたほど出番が少ない。
3、ストーリーの鍵をにぎる仮面の男
「ガンダム」のシャアとか「スターウォーズ」 のダースベーダーより以前にストーリーの鍵を握る「仮面の男」が出てきたのはダンガードAだったと記憶している。注目しておく場所が分かりやすいよね。
こういった要素は、後のロボットアニメに、継承されていく。
永井豪は「守護神」としての巨大スーパーロボットの元祖だが、それを批判的に創作していったのが松本だ。
先週書いたが、永井においては「歴史の怨念=亡霊との葛藤」が、ストーリーと世界観の中心にある。
本人同士の関係は知らないが、描かれている世界観において、松本は永井とは対極にある。
こういう世界観の対立がエヴァンゲリオンとかエウレカにどのように受け継がれていったのかの分析は、私の力量を超えるので書けないが、。
永井と松本は二人とも漫画家だが、この二人の作風を止揚したのが漫画家になれなかった富野だったのも興味深い。