Hindy Quest

はじめてのたたかい

僕の秘密その2

 僕の秘密をもうちょっと教えよう。帝国戦士の亡霊に出会う前にも、僕はモンスターを目撃していた。2歳ごろのことだ。僕は自動改札になったばかりの私鉄の駅前の団地に住んでいた。関西の私鉄は関東より20年はやく自動改札になっていたため、僕は高校生になるまで普通の(手動というのか)改札を知らなかった。
 2歳のころの僕は空中浮遊とか体外離脱体験を繰り返していた。まだ自我が固まらないままに僕をつれて親が団地の中の部屋から別の部屋に引っ越しをしたのだ。僕はとてもおさなくて「自動化されたシステム」や「引っ越し」がモンスターの出現と関係しているなんてことには全く気が付いていなかった。
 新しい部屋に引越しをして数日後、突然、部屋の中にその怪物は立っていた。あまりのことに僕は気絶してしまった。僕の精神はいちじるしく不安定になり、体外離脱し六道輪廻をはしりまくった。親が買ってくれたばかりのレゴのおもちゃを5階の窓から投げ捨て、おかげで、もうおもちゃを買ってもらえなくなった。
 のちのち、亡霊がいる現実に馴れたのは早くにモンスターに出会ってしまったせいもあるのだろう。もちろん、藤子藤雄のマンガがそんな現実をひそかに応援してくれていたのだろう。まだファミコンも登場していなかったが、モンスターが存在する世界のなかで僕は何度も死に、そしてよみがえった。だが、それだけではない、もう一度の引越しをすることになる。それは、あらたなモンスターとの出会いだけでなく、恐怖の体験を用意していた。
 他にも4歳までの大都会生活で、結界の向こう側のモンスターにもいろいろと出会ったが、それはまたこんどにしよう。