パンテオンの原理

 フィリピンがイラク派遣軍を撤退させるのをみて、タイも撤退を開始した。ライバル関係にある両国がどちらも「自国から先に撤退することはできない」と考えているので、お互いにけん制しあって、撤退ができないでいたのだが、フィリピンが撤退することになったためタイはメンツをつぶさず撤退できるようになったのだ。

 このような2国関係は、日本と韓国の間でも同様だろう。言うまでもなくメンツ意識はライバル関係と密接に結びついている。韓国軍の撤退が日本軍より先ということは考えられない。これをアメリカ側からみれば、日本の首にさえ縄をつけておけば韓国軍が勝手に撤退してしまうことはない。東アジアから軍隊がイラクに来ている以上、ヨーロッパ勢もやっぱりメンツがあって撤退できない。

 イラク派遣軍は実は、ヒンディのパンテオンのような構造になっていると考えることができる。どういうことかというと、パンテオンにおいては本来対立する神と神とが、けん制しあうことで秩序を強化している。神にもメンツがあるのだ。江戸時代の幕藩体制もアメリカ帝国もヒンディのパンテオンも実は同じ原理をつかっていることになる。謎が解けてしまえば、魔道というのは案外たいしたことがない。世の中のどこにでもあることだからだ。大きすぎて見えないだけのことだ。