藩主コイズーミ=ジュン=イチロー

 コイズーミは苦悶していた。まさに内憂外患とは、このことだ。幕府には無理難題を押し付けられ、無法な隣藩の横暴に耐え、ヒステリー民衆をなだめ、隙あらばと出てくる山賊海賊の類も数知れず。世は戦乱、乱世の様をあらわしつつあった。青息吐息になりながらも「領民は分かってくれている」との思いがコイズーミを支えていた。そんな折、忠実な家臣のカワグーチが倒れた。人攫い山賊事件の対応で休みなしだったのだ。激務がたたった先々代藩主のことが頭をかすめる。「今、私が倒れる訳にはいかない」コイズーミに人生最大の勝負の時が近づいてきていた。そしてそれは外様大名ジャパン藩のみならず、諸国をも揺るがすことになる。