ドラッカーブーム
「もしドラ」のおかげで今年はドラッカーに関する話題がメジャーになった。20年来のドラッカーファンとしてちょっと感慨深い。ここ数年続いてきた一般向け会計書ブームの流れがついにドラッカーに連動したのは日本社会にとっていいことだとおもう。経営学者としてのドラッカーは実のところ、今にしてみれば当たり前のことを整理してならべているだけで、またそこが古典としてすごいとこなんだけど。
ただ私が惹かれたのは、社会学者としてのドラッカーとキルケゴールの弟子としてのドラッカー。初期3作あたりは凄い。暗くてドロドロしたナチスの黒魔術国家の呪縛を解き、魔術に捉われた人々を救い出して戦う。魔法少女物のようなイメージ。そう、ドラッカーは女子マネージャーよりも魔法少女がよく似合う。
今年を振り返る。
今年はほとんどここに書き込まなかったので、一年を振り返るのには、いい場所だとおもう。
信仰と社会変動
クシャーン朝あたりの政治的・社会的変動抜きに大乗仏教の成立を語るのは無理がある。社会変動が信仰を試みるのはどのような信仰でも同じことだろう。
大無量寿経と新約聖書とタルムードはいずれも2世紀ごろに大きく統合化・書物化している。それまでは口伝が圧倒していた。
それぞれの宗教的系譜から親鸞、キルケゴール、レヴィナスが登場している。
さらにその法脈を受け継ぐ者たちが現在も活躍中だ。
- 作者: 内田樹
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/07
- メディア: 新書
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しかし内田が解説するレヴィナスの神概念は極めて阿弥陀に近い。
- 作者: 内田樹/釈徹宗
- 出版社/メーカー: 本願寺出版社
- 発売日: 2005/03/23
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- 作者: 内田樹/釈徹宗
- 出版社/メーカー: 本願寺出版社
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仏教の中のユダヤ文化―聖書から見た釈迦の教えと聖徳太子伝説 (ムー・スーパーミステリー・ブックス)
- 作者: 久保有政
- 出版社/メーカー: 学習研究社
- 発売日: 2005/06
- メディア: 単行本
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阿弥陀信仰と初期キリスト教の関係がちょっと書かれていたので読んでみたんだが、著者のユダヤ思想・文化にひきつける仮説を証明しようとしたために信仰の類似点の指摘にとどまっている。ちょっと軽く論じた感じがする。
本書には興味深い話もずいぶんでてくるが、一つ一つの証明がゆるい。
ムーブックスあたりだと気宇壮大なトンデモ仮説も気軽に出版できるんだな。
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歴史は「べき乗則」で動く――種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)
- 作者: マーク・ブキャナン,Mark Buchanan,水谷淳
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/08/25
- メディア: 文庫
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「地震・山火事・株価の暴落・絶滅・認識の変化・戦争に特別なものはない」というのはよくわかる。
しかし事象に自分がまきこまれていると特別な原因による説明が欲しくなるもの。特別な原因を一人で信じているうちはいいけど他人にも信じさせようとするのが痛い。
ところで、↓こんなの見つけた。
http://www.jsyys.com/transactions-RS.pdf
宗教戦争が日本語の思想を鍛錬していた時代
- 作者: 釈徹宗
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/01
- メディア: 単行本
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戦国時代が日本の宗教戦争期だったのは、私にとって定説だが、世間では「日本には宗教戦争なんてなかった」ということをどうも信じたいらしい。まあ、それもいいだろう。
ともかく宗教戦争があって、はじめて鍛えられる類の思想というものがある。
もう一度宗教戦争をやるのは辛いので、過去の宗教戦争から思想を汲み取れると良い。
一人の思想家の遍歴を追った内容だけど、追う側の著者もユニークな思想家である。
又、この本がきっかけになって内田樹と中沢新一の対談が初めて実現したりと面白いことがおこっている。
思想のパンドラの箱が開いたんだろうか。