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ドラッカーブーム

もしドラ」のおかげで今年はドラッカーに関する話題がメジャーになった。20年来のドラッカーファンとしてちょっと感慨深い。ここ数年続いてきた一般向け会計書ブームの流れがついにドラッカーに連動したのは日本社会にとっていいことだとおもう。経営学者としてのドラッカーは実のところ、今にしてみれば当たり前のことを整理してならべているだけで、またそこが古典としてすごいとこなんだけど。

ただ私が惹かれたのは、社会学者としてのドラッカーキルケゴールの弟子としてのドラッカー。初期3作あたりは凄い。暗くてドロドロしたナチスの黒魔術国家の呪縛を解き、魔術に捉われた人々を救い出して戦う。魔法少女物のようなイメージ。そう、ドラッカーは女子マネージャーよりも魔法少女がよく似合う。

今年を振り返る。

今年はほとんどここに書き込まなかったので、一年を振り返るのには、いい場所だとおもう。

黄色人種と肌色の話

私には「人種」という概念がよく理解できない。「黒人」だとか「白人」だとかが身のまわりにでてきて、「われわれは黄色人種」だとかいう奴がでてくる。肌の色をそのように認識するのには違和感がある。

古来中国では四方に赤青黒白を配し、中央を黄色とした。

色をめぐるシンボリズムの呪術が絡み合う。

だが、誰でもしっているとおり日本語で「肌色」といえばサーモンピンクに近い色をさす。(サーモンピンク色人種とは誰もいわないが。)これは考えるまでもなく、天然の赤ん坊の肌の色である。日本語では肌の色を感じるとき、赤ん坊を基準にしてきた。美白もガングロも黄色人種なんて認識もそこにはない。色即是空の天然ボケの国ですから。

信仰と社会変動

クシャーン朝あたりの政治的・社会的変動抜きに大乗仏教の成立を語るのは無理がある。社会変動が信仰を試みるのはどのような信仰でも同じことだろう。
大無量寿経新約聖書タルムードはいずれも2世紀ごろに大きく統合化・書物化している。それまでは口伝が圧倒していた。
それぞれの宗教的系譜から親鸞キルケゴールレヴィナスが登場している。
さらにその法脈を受け継ぐ者たちが現在も活躍中だ。


私家版・ユダヤ文化論 (文春新書)

私家版・ユダヤ文化論 (文春新書)

自称レヴィナス(タルムード学者)の弟子なのが内田樹だが、 内田による小林秀雄賞の受賞作が本書。「反ユダヤ主義がなぜ存在するのか」というテーマなんだが、それについてのコメントはしない。
しかし内田が解説するレヴィナスの神概念は極めて阿弥陀に近い。
はじめたばかりの浄土真宗 (インターネット持仏堂 2)

はじめたばかりの浄土真宗 (インターネット持仏堂 2)

いきなりはじめる浄土真宗 (インターネット持仏堂 1)

いきなりはじめる浄土真宗 (インターネット持仏堂 1)

内田樹浄土真宗の僧侶でもある宗教学者釈徹宗との対談としたのが本書。2000年の時を越えて、響きあうのは何。

親鸞キルケゴールから、浄土真宗プロテスタントの関係をしらべているうちに、ムーブックスかよ。ま、しゃーないな。

阿弥陀信仰と初期キリスト教の関係がちょっと書かれていたので読んでみたんだが、著者のユダヤ思想・文化にひきつける仮説を証明しようとしたために信仰の類似点の指摘にとどまっている。ちょっと軽く論じた感じがする。

本書には興味深い話もずいぶんでてくるが、一つ一つの証明がゆるい。
ムーブックスあたりだと気宇壮大なトンデモ仮説も気軽に出版できるんだな。

歴史は「べき乗則」で動く――種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)

歴史は「べき乗則」で動く――種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)

流行のべき乗則に乗ってみた。
地震・山火事・株価の暴落・絶滅・認識の変化・戦争に特別なものはない」というのはよくわかる。
しかし事象に自分がまきこまれていると特別な原因による説明が欲しくなるもの。特別な原因を一人で信じているうちはいいけど他人にも信じさせようとするのが痛い。


ところで、↓こんなの見つけた。
http://www.jsyys.com/transactions-RS.pdf

宗教戦争が日本語の思想を鍛錬していた時代

不干斎ハビアン―神も仏も棄てた宗教者 (新潮選書)

不干斎ハビアン―神も仏も棄てた宗教者 (新潮選書)

この本、今年のベストバイになりそうだ。
戦国時代が日本の宗教戦争期だったのは、私にとって定説だが、世間では「日本には宗教戦争なんてなかった」ということをどうも信じたいらしい。まあ、それもいいだろう。
ともかく宗教戦争があって、はじめて鍛えられる類の思想というものがある。
もう一度宗教戦争をやるのは辛いので、過去の宗教戦争から思想を汲み取れると良い。
一人の思想家の遍歴を追った内容だけど、追う側の著者もユニークな思想家である。
又、この本がきっかけになって内田樹中沢新一の対談が初めて実現したりと面白いことがおこっている。
思想のパンドラの箱が開いたんだろうか。